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このブログはloki鯖ギルドMilkyWay所属アヤリンの個人ブログです


by sylphia

Prologue1

少女は今、ごく広いホールで五体のレプリカント、つまりは戦闘用ロボットに囲まれていた。
年のころは十六歳ぐらいだろうか。しかし、その幼い顔立ちや背の低い容姿もあいまってより幼くも見える。
その手にしたライフルと少女の姿が不釣合いだった。
「状況開始っ」
 スピーカーから流れる声に五体のレプリカントたちはいっせいに動き出す。
「嫌……戦いたく……ないですっ」
 言う少女の眼前をレプリカントの放った光が貫く。かろうじて避けたものの胸のリボンの破片が宙に舞っている。
「そんなんじゃ、死ぬわよ……。蓮花、戦いなさい」
 スピーカーの声は無常にも言い放つ。それでも、蓮花と呼ばれた少女はかたくなに戦いを拒みながらレプリカントの攻撃を紙一重のところで回避し続けている。
「で、でもっ」
 指示を拒む蓮花は背後に迫っているレプリカントの一体に気づいては居なかった。レプリカントの一撃に蓮花の軽い体は部屋の隅まで吹き飛ばされる。
「もう一度言うわ。戦いなさい」
「嫌ですっ」
 きつく放たれる言葉を蓮花はきっぱりと両断する。蓮花の周りに巻き込まれる爆風。そのダメージで蓮花の服はぼろぼろに裂けていた。
迫るレプリカントの一体から間合いを取ろうとするが先ほどの一撃が致命的だったのだろう。体が思っているように動かなかった。
もう駄目だ。そう覚悟した時――レプリカントたちはその動きを止めた。
「そこまで、終了よ……」
 声は告げた。蓮花はその声を聞いてふぅと安堵の息をもらす。
部屋の上の方に配置されているガラス窓に厳しい顔をした研究者の女性の姿が映る。
その表情を見た蓮花は少し申し訳ないような気がした。
by sylphia | 2006-01-16 22:46 | 蓮花の出会い